なぜ広告閲覧でユーザーがギガ死する? 
そんな思いからクラウドリバース課金の実現へ

例えば「クラウドリバース課金」の実現に向けた取り組みもそのひとつです。

昨今、スマートフォン向けの動画広告が増えてきました。しかし、思ったようにユーザーには見てもらえません。「ギガ死」を恐れて閲覧をやめてしてしまうからです。そもそも動画広告を見るために、なぜユーザーは自分の大切な通信容量を消費しなければならないのでしょうか。この課題を解決するアイデアとして生まれたのがクラウドリバース課金で、特定サイトを閲覧する際に消費する通信料をコンテンツ提供者側に振り替えます。

既存のクラウドサービスで簡単に実現ができる

イノベーション統括部 クラウドソリューション担当の担当課長である秋永和計氏はこう語ります。
「AWSの提供する機能を組み合わせるだけで、コンテンツプロバイダー別のトラフィックを集計することは容易に実現でき、私たちはそこに乗っかるだけです。このように今あるものを組み合わせるだけでも、ビジネスに役立つ仕組みを簡単に実現できるのです」

さらに、イノベーション統括部 クラウドソリューション担当 担当課長の住谷哲夫も、
「仮にドコモが既存の課金システムに機能を追加すると、影響範囲によっては年単位の時間がかかってしまいます。世の中の主要なクラウドサービスと連携することで、スピード感をもった対応が可能となります」と強調します。

ネットワーク事業者とパートナーの双方が相互を理解し課題を共有したからこそ気づく

あとから考えれば、クラウドリバース課金のような取り組みは「やって当たり前」のことで、逆に言えば「なぜやらなかったのか」と問われそうですが、こうしたアイデアはネットワーク事業者とパートナーの双方が相互に理解し、知識を深め、課題を共有する中からしか生まれてきません。まさにそうした議論を活性化していくための場として、5G イノベーション活動が立ち上がったのです。