「ドコモのモバイル決済「d払い」での狙い」 – 5G×モバイル決済

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講演者の大浦勇亮と、「d払い」についてと題したスライドの写真

政府によってキャッシュレス化が推進されていますが、5Gによって決済はどう変わっていくのでしょう。またビジネスにはどのような影響があるのでしょう。それをテーマにしたのが2019年3月20日に開催されたイベント「5G×モバイル決済 〜決済から広がる周辺サービス~」です。

最初にNTTドコモから、プラットフォームビジネス推進部 ペイメントビジネス担当 大浦勇亮が登壇し、自社のモバイル決済サービス「d払い」誕生の経緯や、その目的が語られました。

ドコモが提供するキャッシュレス決済「d払い」とは?

まずは「d払い」とはどんなものなのか、そしてどんな特長があるのかが説明されました。

「d払い」についての説明をする講演者と会場の様子の写真

「d払い」は、ドコモのスマホをお持ちの方であれば、4桁のパスワードを入れるだけで、すぐに使える決済サービスです。具体的な手順としては、専用アプリを起ち上げて規約を読み、普段使っているネットワークパスワードを入れて、アンケートに1問答えれば、支払用のバーコードの画面が起ち上がります。ドコモのスマホを契約していない方でも、dアカウントというIDとパスワードを取得してクレジットカードを登録すれば、クレジットカードでの支払が可能です。

「d払い」を利用すると、dポイントを溜めることができます。dポイントとは、ドコモと回線契約をしていない人でも入会できるポイントプログラムで、200円の買い物で1ポイントが付与され、1ポイント1円で利用できるというもの。全国の加盟店でカードが配布されているため、既に6,900万人以上の会員がいます。
「その会員の方々に、簡単にポイントを溜めたり使ったりしていただけるようになるのが、『d払い』の一番の特長です(※)」(大浦)

※「d払い」の支払は、電話料金合算かドコモ口座残高充当(ドコモのスマホを契約している場合)、dカード/クレジットカード払い、そしてdポイント充当のいずれかが選べます。

dポイント会員にお店に足を運んでもらって、お店が提供する価値を感じていただく、つまりお店と共に会員への価値を提供していこうというのが大きな目的で、「20%のポイントプレゼント」などのキャンペーンも展開しています。

政府の推進施策にのって、「おトクを享受すべき」

現在、経産省が主体となって、キャッシュレス比率を2025年までに倍増していこうという計画のもと、消費者向けにはキャッシュレス払いをするとポイントを5%還元するサービスを、中小の店舗向けには、決済端末の導入費用の負担をなくしたり、決済手数料の1/3を国が持ったりという推進施策が打ち出されています。

「消費増税の10月に向かって盛り上がりをみせ、特にバーコードやQRコード系の決済は“お祭り”になる予感がしています。お店も利用者もうまくそれに乗って、おトクを享受すべきです」(大浦)

「ネット決済をいつものスマホで」というアイディアが生んだ「d払い」

これまでもドコモでは、決済の利便性向上を目的として、2005年からは非接触型カードを使った電子マネー「iD」を、2015年からはクレジットカード「dカード」事業を展開し(契約数は約2,000万)、キャッシュレス化を進めてきました。一方、オンラインでは1999年にi-modeで簡単にコンテンツを購入できるプラットフォームをつくり、2015年にはポイントを溜めたり使ったり、電話料金との合算で払えるようなネット決済サービスも提供していて、こちらは月に1,500万人が利用しています。

こうした長い歴史があるにも関わらず、「店舗での決済は現金で」という人がまだまだ多いのが現状です。そこでドコモでは、普段ネット決済を利用している1,500万人のユーザー(ネット決済=現金を介さない決済に抵抗がない人々)に、「いつもの決済がスマホのバーコードでできる」という新たなアプローチをすることで、キャッシュレス化の促進に役立てようと考えました。それが「d払い」誕生の経緯だと、大浦は説明します。

ドコモの決済サービスの歴史とキャッシュレス化の推進について説明するスライドの写真

エコシステムの構築で、キャッシュレス化を加速

ドコモでは今後エコシステムをつくり、キャッシュレス化の加速を図っていくといいます。
「消費者に対しては『どこでも』『おトク』『便利』という価値提供をしつつ、加盟店様には、『d払い』の利用が進むよう消費者にアプローチする媒体や、資金の負担軽減、生産性向上などの価値を提供することで、エコシステムを回していきます」

またこのエコシステムで溜まったデータを活用して、消費者へより効率的なアプローチができるようにしていくことも考えているとのことです。

決済を軸にしたエコシステムの拡大について説明するスライドの写真

5Gの高速・大容量通信が、スマホによる決済だけでなく、ビッグデータの収集や活用にまで役立てば、実店舗ならではの新たなサービスが生まれてくるかもしれませんね。

次回は株式会社pring、代表取締役 荻原光彦氏の講演「キャッシュレス決済の先にあるお金コミュニケーションの未来」をお届けする予定です。こちらもお楽しみに。

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