2020年4月16日に、5G Innovationにおいては初となるオンラインでのイベント「5GI-Live#1 beta 5Gで始めるソリューション開発」が開催されました。
イベントでは、各登壇者の拠点をライブでつなぎ、画面を視聴者と共有しながらセッションおよび質問会を実施しました。
質問会では、事前にいただいていたご質問に加え、視聴者の方々からリアルタイムでいただいたご意見・ご質問に登壇者がざっくばらんに回答し、画面越しではありますが視聴者の方々も参加できるイベントになったのではないでしょうか。
事後アンケートでは、引き続きのオンラインイベントの開催を望む声や、今後取り上げて欲しいテーマに関するご要望をいただきました。5G Innovationのオンラインイベントへの期待を感じております。
この記事では、各セッションの概要および資料をご紹介いたします。
なお、2020年1月に福岡にて開催しましたイベント「5Gイノベーション×FGN」のセッション内容と重複する部分もございますが、その時点からのアップデートも含んでおりますので、是非併せてご覧くださいませ。

ドコモの5G Innovation活動とは
株式会社NTTドコモ イノベーション統括部 クラウドソリューション担当 秋永 和計
- 5Gがスタートし、改めてドコモが何を考えているか、5G Innovationの活動とは、というご紹介をしたい
- 5Gは、高速大容量、低遅延、多数接続という特徴があるが、具体的に何が変わり何の役に立つのか、ビジネスに繋がるのか、イメージしづらいことが問題と考えている。この活動では、分かりやすく伝えることを目的に、各種業界の方を招いて課題を語ってもらってきた。今の通信が皆さんのビジネスにとって満足行くものでない場合に、より役に立つものにするために皆さんと一緒に考えていかなくてはならない。
- ネットワークの進化とともにサービスのリッチ化が加速してきたが、5Gへの進化によって、AR/VRといったXR領域、もっと表現が豊かなビジュアルデバイスが一般に普及するものと思っている。5Gを中心にした時に、どう言った新しい価値が創造でき、それによってデータの収集や表現の仕方が新しくなってくのか。デバイスの革新もセットで考えていかなくてはならない。
- 5G Innovation活動を通して、皆さんとアイディアを温めたい。
ドコモオープンイノベーションクラウド™を活用した5Gソリューション協創
株式会社NTTドコモ 法人ビジネス本部 ソリューションサービス部 担当部長 吉田 直政
- ドコモは「新たな価値の創出」「社会課題の解決」を方針として掲げている。技術を組み合わせることで、価値の創出や課題の解決に繋げるための触媒・1つの技術の柱として5Gを捉えている。数十年間その進化が持続するモバイルネットワークというインフラは、それだけ投資意欲が継続し、世の中から求められるという可能性を秘めた業界・分野。4Gまでは電話の進化だったが、5Gはコンシューマーよりも産業と結びついた変革が語られている。
- ドコモは3/25に5Gサービスをスタートさせた。5Gが利用できるエリアはスタート時点では局所的だが、今後徐々に拡張し4Gにオーバーラップさせる形で展開する予定である。端末も今は4Gと同じようなものだが、今後はウェアラブルなどに広げていきたい。モバイルデータのビットコストが一定の閾値より下がったタイミングで、それまではやりとりされなかった情報がモバイルネットワークを流れ出してきた歴史から、新たなビジネスチャンスが出てくることを期待して、通信データ量は無制限にシフトした。
- ドコモオープンイノベーションクラウド(dOIC)では、5Gのネットワークおよびサービスを作れる環境を提供している。MECといった5Gの価値を最大限生かす基盤によってクラウドをモバイルネットワークにより近づけ、低遅延やセキュアさを売りにする、ということにビジネスチャンスを見出している。ドコモが提供し、かつdOICを活用する具体的なソリューションとしては、映像の伝送およびAIとの連携が最初のソリューションとして形になってきている。
- ドコモだけでは全ての産業・あるいはその本質的なところの課題解決は難しいため、パートナーとの共創を進める枠組みの一つとして、ドコモ5Gオープンパートナープログラムを実施しており、現在は3,500を超えるパートナーと取り組みを行なっている。色々な産業分野の課題解決に取り組んでいきたい。
5G時代のアプリケーション開発とは
日本仮想化技術株式会社 執行役員 エンタープライズクラウド事業部長 玉置 伸行
- 5Gには高速・大容量という特徴があり、理論値として約10倍速くなると言われているが、これはパブリッククラウドにアプリケーションを配置するだけでも効果が得られる。一方で、低遅延に関しては、5Gに加えMECを組み合わせるとより効果が出ると言われている。4Gだとend to endで300ms(0.3秒)かかるが、5G+MECでは100ms(0.1秒)まで短縮されるという期待値がある。
- 低遅延が必要なアプリとしては、遅延があるとアプリケーションとして成り立たないもの、例えば複数人対戦するARゲーム、VRのピンポンゲームなどがある。傾向としては、位置情報×リアルタイム、VR/AR×インタラクティブなど、複数の要素をかけ合わせると低遅延が必要になってくるようである。
- アプリ開発では、パフォーマンスとコストのトレードオフが求められる。例えばVR/ARのリアルタイム配信では高fpsが必須であり、どこにアプリを配置するか、パフォーマンスがどうなるかなどを最適化しなくてはならない。アプリケーションの配置場所がクラウドなのか、クラウド+MECなのか、デバイス側で処理するのか、を考える必要が出てきた。
- 5G+MEC(dOIC)はこれからのコンピューティングの1つである。低遅延が必要なユースケースや5G+MECを活用したアプリのデザインパターンは模索し始めたばかりのため、皆さんと一緒に模索していきたい。