2020年5月28日にオンラインで開催されたイベント「5GI-Live#2:5G×ビューティー」。本記事では、各セッションの概要をご紹介いたします。
オンラインでの開催でしたが、チャットやslidoで参加者からいただいた質問に登壇者から回答をいただいたり、メインセッション後には参加者の興味に合わせ2ルームに別れて懇親会を行うなど、リアルな場でのイベントに近い形での活発な意見交換ができたと感じたイベントでした。
パーソナライゼーションがもたらす究極の顧客体験
矢野様@株式会社アイスタイル「BeautyTech.jp」編集部
- ビューティテックがもたらすものは、ユーザーの購買体験を大きく変えること。新型コロナウイルス感染症の流行では非接触リテールも注目されている。その一方で、サプライチェーンを効率化して利益につなげるという役割もある。5Gはビューティーテックの中でもキーとなるAR/VRなどの技術のアップデートを後押しするものになると考えている。
- テクノロジーの進化によって、美容という領域がファッションやヘルスケアなどにもまたがるようになり、境界線がなくなることでビジネスチャンスが生まれる。さらに5Gによって現在のテクノロジーで可能なことが格段にアップデートされ、物作りやサービスの概念まで変わる。ユーザーは、いつでもどこでもパーソナライズされたVIP的な体験を享受できるようになる。
- 今後の予測の例を挙げる。自宅のミラーや化粧ポーチ、美顔器などがIoT化し、生体情報、消耗品の状況、気候に応じた肌診断、空調機器等の家電のコントロール、サプリの発注、個人の嗜好データからリコメンド・アドバイスを行うようになる。それらから得られた大量のデータを基にして、ブランド側はパーソナライズされた体験を提供することになり、VIP対応を誰もが受けられるようになる。
- 化粧品ブランドのサービスの概念は、「物を売る」から「サービスを提供する」に変わっていく可能性がある。カートリッジのサブスクリプション化、3Dプリンターの発達で顧客データを元にしたコスメなどの製造が個別に、かつどこでもできるように。AR/VR技術は、メイクアップやファッションを不要にし、オンライン上のメイク・コーディネートを売るという「リアルとバーチャルが混在する世界」を作り出す。コロナ後の世界では、これらのビジネスチャンスをキャッチしていくことが重要になってくると考えている。
5G×Withコロナ時代の美容体験の変化
星様@株式会社Sparty
- spartyはパーソナライズシャンプー事業でヘアケア「サービス」を行なっている。ユーザーの好みに合わせてパーソナライズし、シャンプーを届け、そして変化に合わせて作り変える、サブスクリプションとパーソナライズを合わせたサービス。リアル店舗のチャネルも持っており、どのチャネルで購入したか、個人のデータ、購入者と商品の紐付けおよびフィードバックの全てのデータを持って、処方の提案や改善ができることが強みである。
- 5Gの進化によって、あらゆるもののIoT化が起こりブランドとの接点が増える。オンライン・オフラインでの新たな美容体験。スマートミラーなど、リアルな店舗で新しい美容の体験を得ることが増え、それに伴ってより高度な体験も増える。spartyでも、個人の自発的な悩みと機械が読み取ったトラブルや予測を合わせて判断してもらう、という体験を提供している。
- コロナ後は不必要な外出が減り、より質の高い体験が残ることから、体験設計を考え直す必要がある。ものや情報の量が過多な中、「最適な選択をお任せしたい」と考えている人にどうアプローチしていくかを重視。美容とは人間の根本的な欲求であり、曖昧さがあるため、会社の軸として「パーソナライズ」と「コアコンピタンス」を重視している。AIの機械的な分析に全て委ねるのではなく、香り・好みなど感覚的な選択の余地を残している。
- バーチャルの中に商品があり試せる→曖昧さを形にしてあげる→選ぶ過程を楽しむ→納得感があるから継続する、というのがspartyの美容サービスに対する考え方。悩みへの共感と選ぶことの余白の重要性がより強くなる。アナログ(実店舗)の補完を入れているのは、「より質の良い答え」ではなく、「共感」が大切と考えているからである。デジタル時代においては、曖昧なものに対して一緒に悩みを分かち合うことが、新しいデバイスと「人」を組み合わせ、「共感」が新しいブランドの形になると定義している。