2020年9月8日にオンラインで開催されたイベント「5GI-Live#4:5G×デジタルツイン ~空間のデジタル化で広がる未来とは~」。本記事では、各セッションの概要をご紹介いたします。
デジタルツインは、元々はセンサーや工場の機器から取得できる情報でシミュレーションを行い、故障・機器トラブルなどをコンピュータ上に再現するというアイディアから始まったものです。さらに様々な業界で、あるいは対象を拡大して、5G技術も利用すると何ができるのか。登壇者から参加者に最新情報の共有がなされ、共創が呼びかけられました。メインセッション後のアフタートークでは、spatial.chatというオンラインコミュニケーションツールを利用して、登壇者・参加者の方々に自由に交流していただきました。活発な情報交換や議論が行われ、イベントは盛況の中終了いたしました。
点群データ活用ソリューション Field Simulatorのご紹介
菅野 崇亮(すがの たかあき) NTTドコモ 5G・IoTビジネス部 ソーシャルイノベーション推進部門 先進ソリューション・第一担当 主査
- 点群データとは、(x,y,z)の座標情報と(R,G,B)の色情報をもつ3次元データであり、これらを用いて現実世界と同様の立体構造を持ったオブジェクトをデジタル空間に再現することができる。
- 点群データを活用する業務を効率的に行いたい、というニーズに応えられるように、Field SimulatorというソリューションをNTTドコモで開発した。Field Simulatorは、エリジオン社のInfiPointsという製品とドコモオープンイノベーションクラウドとを組み合わせたものとなる。
- Field Simulator紹介ページ https://www.nttdocomo.co.jp/biz/service/fields/
- Field Simulatorでは、点群データを利用した遠隔での3次元の測量・測定、3Dモデル化、様々なシミュレーションなどが実現できる。クラウドを利用することで物理的な記憶媒体を不要にし、また点群データを合成する工程をクラウド上で自動処理させることで効率化を実現した。
- 点群データを活用することによる業務効率化は様々な業界に広げられると考えている。どのようなことに活用できるかの検討は実際に撮影して使ってみることから始まると考えているので、お声がけいただきたい。
空間・都市のデジタルツイン
沼倉 正吾(ぬまくら しょうご) Symmetry Dimensions Inc. CEO/Founder
- Symmetry Dimensions Inc.は、VR空間の中で建築設計の実寸大シミュレーションが出来るSYMMETRYというソフトウェアを販売。さらに、先進的な点群技術を利用したいという要望を受けて、デジタルツインのプラットフォームという形にシフトした。
- デザイン・設計・物づくりの現場、あるいは広い空間や都市を再現したデジタル空間の中で分析・シミュレーション・予知を行い、それを現実空間に還元して初めて現実世界が最適化される、というのが今のデジタルツインの考え方となる。
- 現実世界のデジタルデータ化がここ5年間程で大きく進み、点群データとIOTセンサーデバイスの増加で莫大なデータが流れるようになった。それを捌くのに5Gが必要。5Gを基盤にして、大きな都市の空間にセンサーデバイスを配置すると、街のリアルタイムのデータを再現することができる。
- 実際の取り組みとして、建築現場にデジタルツインを取り入れ、インフラとして5Gを使って、遠隔地でもVR空間に現場を再現出来ることを実証した。工程ごとの点群データの取得を行って、工事の精度の測量や工事内容の検討をVR上で行った。